「一浩と栄里子のあたしんち」第79回「日本臨床矯正歯科医会」

先日公益法人 日本臨床矯正歯科医会(矯正歯科医会)50回記念大会が福岡で開催され、会員として私も参加してきました。
矯正歯科医会は今から50年前 当時は珍しい矯正歯科専門医8名が「金曜会」という勉強会を開催したのがはじまりです。
当院は開業して33年目になりますが、私が入会してすぐに20回記念大会が開かれました。

矯正歯科医会は矯正歯科専門医のみの会で、50年の歴史のなかで学術的な活動以外にも、会員の先生が病気等で診療ができなくなった時に、患者さんが困らないように手伝いに行く共済制度や、患者さんの転居の際に継続診療がスムースにいくように転医規程などを作成してきました。

また公益事業(自分達のためでない公共のための事業)として矯正歯科の市民セミナーを開催したり、患者用にわかりやすいMook本の作成などの活動をしております。
私はこの30年間に本部の理事、副会長、神奈川支部の支部長などを歴任してきました。

日本に矯正歯科専門開業医院は2000医院ほどあると言われていますが、矯正歯科医会の会員は現在400名ほどしかおりません、公益法人は予算の半分以上は公益事業に使われているため、会費もやや高く、そのような活動を面倒と思う歯科医は入会しないので、同業のネットワークを作らず孤立している矯正歯科医も多いように思います。

先日、治療途中の患者さんが当院に初診相談に来ました。
以前、京都に住んでおり京都で矯正を開始したのですが、1年前に神奈川に転居したそうです。しかし今でも治療のため月1回京都に通っているとのことでした。京都の矯正歯科医は矯正歯科医会の会員ではなく、神奈川に知人の矯正歯科医がいないのか?転医を勧めなかったそうです。矯正歯科医会の転医規程では料金を精算して返金して転医をするのが普通なので、返金するのがいやなのかもしれません。理由は不明ですがその患者さんは神奈川から京都まで通院するというという結果になったそうです。

私は全国に30年以上お付き合いしている矯正歯科医の仲間がおります。患者さんが転居の際はこのような仲間を頼って転医がスムースに行えるようにしています。今まで当院からの転医でトラブルは一度もありませんでした。しかし近年は矯正専門医院以外でも矯正治療を行う医院も多く、他院で治療を行っている患者さんから、治療内容についてや転医の相談を受けることも多くなってきています。

矯正歯科臨床は、ただ単に歯並びを治せる技術があればいいわけでなく、長期にわたる管理が必要なので、転医制度や共済制度が整った日本臨床矯正歯科医会会員の診療室で、安心して治療を受けられることをおすすめします。

院長 福増一浩