「一浩と栄里子のあたしんち」 第74回「リフォームと建替え」
今回は近況報告を兼ねた内容を記したいと思います。
実は現在、自宅の建替えを行なっていて、仮住まいに住んでいます。
自宅は1999年に築13年の中古住宅を購入して、リフォームして住んでおりました。経年劣化で雨漏りなどもあり、数年前に再度リフォームを行い、外壁塗装や防水をやりなおしました。2021年で築35年、まだまだ住めるのですが、小さい車庫が1台分しかなく子供達が車に乗るようになると不便を感じる点が多々ありました。子供達は2人ともまだ未婚なのですが、一層の事、2世帯住宅にしようと建替えを決意しました。
自宅の話はここまでで、リフォームと建替えを比較していたら歯科治療のイメージが頭をよぎりました。リフォームは基本的には家の構造を変えないので、歯科治療で言うならば噛み合わせ(咬合)は変えずに治療をするようなものだと思います。
つまり齲蝕を取りそこを金属や樹脂で埋める、齲蝕治療。歯の欠損に対して入れ歯やブリッジで補填する補綴治療もリフォームによく似ています。
一方、建替えとなると事は大ごとです。咬合そのものを大きく変更する治療になります。総入れ歯や全ての歯牙のフルマウスブリッジなどの全顎補綴治療は、住宅で言うなら建替えに相当します。総入れ歯やフルマウスブリッジは完成するまでの間、歯が無くては生活ができないので、仮歯を入れます。住宅で言うなら仮住まいの部屋を用意するようなものです。
我々の行なっている矯正歯科治療はどうでしょうか?
矯正歯科治療も咬合をかえていきます。外科矯正などでは歯牙だけでなく骨格も移動します。骨格を変えるのは土木工事みたいなものです。
今回、私どもの家も地下車庫や地下室を作るのでかなりの土木工事がありました。
矯正歯科治療と上記した補綴治療の工程で大きな違いは、仮歯が矯正歯科治療には無いと言うことです。不正咬合の患者さんは歯並びや骨格が悪いなりに咬合しているので、特に違和感は感じていません。ですが、矯正治療ではそれを壊して並び替えていくわけです。つまり家に住みながら建替えるようなもので、患者さんには不便を感じさせている点は多々あるかと思います。
矯正治療中は多少噛みにくいこともありますが、それなりに食事や生活はできます。それは人間の食べるものは包丁や調理で、すでに加工されているからです。これがまた不正咬合の原因の1つになっているのも事実です。自然界、特に肉食動物の世界では歯の損傷は死活問題になります。野生のライオンに矯正治療をしたら生きていけないでしょう。
現在、治療を行なっている患者さんには不便を感じさせているかとは思いますが、いずれ使い勝手のいい新居に移り住むように、新しい歯並びで快適な生活ができますので頑張ってください。 院長 福増一