「一浩と栄里子のあたしんち」 第73回「 人生3度目の矯正治療/クリアコレクト(マウスピース矯正) 」

行楽の秋ですが、残念ながらコロナで外出自粛状況が続いています。
ですが、福増矯正歯科は忙しい状況が続いています。
なぜかというとマスク生活が定着し、人目が気にならなくなったこの機会に矯正治療を始める人が増えているからです。
皆さんは外に出られない代わりに何かを始めましたか?

私事ですがこの夏から人生3度目の矯正治療を始めました。1度目は歯科大生時代に小臼歯4本の抜歯治療を行いました。
当時は今のように顎にネジを打つ矯正用のアンカースクリューなどというものはありませんでしたから、奥歯が前に移動しないようにするにはヘッドギアを使うしかなく、授業中もヘッドギアを使っていました。
当時に比べれば現在の矯正治療はいろいろ使えるものが増え、予測どうりの治療結果を導きやすくなったと思います

2度目の矯正治療は2006年から、当時まだ日本で販売開始したばかりのデジタルマウスピース矯正「インビザライン」での治療を開始しました。
アメリカでインビザラインが販売開始されてから遅れること7年、2003年の全米矯正学会で見てきたデジタルマウスピース矯正がようやく日本で購入できるようになったかと、日本の医療の認可に時間のかかることを実感しました。

マウスピース矯正自体は以前からあったのですが、数週間ごとに来院してもらい毎回、歯型採りと模型を手作業で動かして作るアナログなもので、製作にかなりの手間と患者さんの負担もかかります。
最初の模型で治療計画を立てて、治療のゴールまで10から数十枚にもなる、全てのマウスピースを1回で製作することができるデジタルマウスピース矯正の「インビザライン」はとても画期的なものでした。

マウスピース矯正にはブラケットによる矯正治療と違い、治療できる適応症例に限度があります。
その当時、噛みしめ癖による軽度の叢生の後戻りを気にしていた私には、インビザラインの導入ケースとして適応症例にぴったりで、体験もできてちょうどよかったというのも理由です。
その後、デジタル技術の進化により口腔内スキャナーが登場し、マウスピース矯正にも利用できるようになりました。
現在ではスキャナーの精度も上がり、スキャナーを利用した方が手間がかからなくなってきています。

そして今回3度目の矯正治療ですが、当院でも口腔内スキャナーを導入することになりました。
導入理由としては増え続ける模型の保管と診断の効率化のためなのですが、やはりせっかく導入するのですからマウスピース矯正に使ってみたいと思い、導入機種の「TRIOS4」と連携しているマウスピース矯正「クリアコレクト」のお試しを兼ねて再治療することにしました。
前回の再治療から14年が経過し、リテーナーは毎晩使っているものの、やはり噛み合わせが深くなるなどの多少の歯列変化は出てきています。

「クリアコレクト」での治療体験ですが、まだ4枚目なので動きとしては特に問題はありません。
インビザラインと比べると付加装置が少ないので多少細かい動きは苦手な感じがします。
形態としては2mmほど歯肉にかぶさる長めな形態なのですが、密着感がよく、境目が見えにくいので目立ちにくいと思います。
さらに、マウスピースは2週間毎で交換しているのですが、汚れがつきにくく、ほとんど着色がつきません。

これはマウスピースの素材による違いなのですが、インビザラインだと交換時期にはやや着色が気になってくるので、クリアコレクトはより審美性の良いマウスピース矯正装置だと思います。
適応症例としてはマウスピース矯正全般に言えることですが、全てのケースに対応できるわけではありません。マウスピース矯正を希望される方はご相談ください。by 福増栄里子