矯正治療を始める前にその診断、治療計画で大丈夫ですか?

春は新しいことを始めたくなる季節ですよね。当院でも春から夏にかけては初診患者さんが増える傾向にあります。
近頃はマスク生活が定着したせいか、今のうちに歯並びを治したいと矯正治療を希望する方が増えています。
さらに、マウスピース矯正のコマーシャルがTVで流れるなど矯正治療が身近になり、気軽に始められると思う方も増えているようです。
その反面、他院での治療後や治療中の方がセカンドオピニオン(第2の意見)を求めて、矯正専門医院である福増矯正歯科に初診相談に来る事も増えてきました。
今回の特集では矯正治療に大切な診断について説明し、矯正歯科選びや将来の健康のために役立ててもらいたいと思って書きました。

矯正治療の進み方

初診

初診はお子さんの場合、何歳で相談に行けばいいのか悩む方が多いようです。
初診=治療開始ではありませんし、早ければ良いタイミングまで待つことが可能です。
何歳であっても気になることがあれば相談に来てください。
初診相談では歯並びや顔貌、問診、患者さんの主訴と矯正治療への希望などから治療の必要性やどのような治療になるかの予測、装置や治療期間、概算費用などの説明を行います。

資料採取

次の段取りは資料採取です。矯正専門医院では歯並びを整えるのは当然ですが、子供の場合は治療により顎顔面の成長発育を促したり、大人でも顎変形がある場合には外科矯正により骨格を改善するなど、歯並びだけでなく骨格や口元のバランス、呼吸などを重視し、改善するために治療を行います。
そのため診断に必要な資料は多岐にわたり、顎顔面のバランスを3次元的に検査/分析を行います。
写真(口腔内/顔写真等)、セファロ、パノラマX線写真、模型、3Dスキャン、CTなどパノラマX線写真/歯や歯槽骨(虫歯や歯周病)、未萌出歯などを確認します。

セファロ

セファロ(側貌)

顎顔面の成長発育度合い、顎顔面の形態やバランス、上顎骨下顎骨の位置関係、臼歯関係、前歯の傾斜と被蓋、口唇の突出やオトガイ緊張、顎関節の形態気道の広さ(アデノイドや扁桃腺肥大)舌の位置(鼻呼吸or口呼吸)などを確認します。
幼少期からの鼻炎などによる鼻呼吸障害が、顎顔面の成長発育や歯列不正に大きく関係しています。

セファロ(正貌)

顔の対称性や正中のズレ、咬合平面の傾き、下顎の偏位、歯列の幅などを確認します。
アデノイド肥大オレンジの点線は気道の広さを確認。この患者は気道が狭く口呼吸のため、舌が口蓋から離れています。
扁桃やアデノイド肥大で呼吸障害がある場合は、耳鼻科に紹介する事も良くあります。

セファロ

セファロ

セファロ

診断/治療計画

各種資料や分析結果をもとに治療計画を立てます。口元のバランスは骨格や前歯の位置によって変わります。より綺麗な口もとになるように歯の位置を移動するには、どうすればいいか歯牙移動と口元のバランスの予測を立てます。
歯牙移動のために必要があれば、抜歯や歯牙サイズの調整、矯正用アンカースクリューなどの固定源を検討します。
診断で治療予測を立て治療計画を検討することで、予測通りの治療結果を得ることができます。

ご注意ください!:他院の治療で不安や不満があって相談に来る方は、セファロや写真などの診断資料を撮らずに治療開始していることが多いです。
治療開始前の資料がないと治っているのか判断できません。そして、悪い歯並びにはそうなった原因があります。
原因を無視して予測もなしに治療を開始した場合、かえって噛み合わせや口元のバランスが悪くなることがあったり、治療後の後戻りも起きやすくなります。