「朝起きて体がだるい」もしかして、睡眠時無呼吸症候群かも!

歯科医師:服部
歯科医師:服部

今年はCOVID-19によって生活様式が大きく変わりました。私もいつ感染するんだろうと不安になる時があります。質の良い睡眠は、ウィルスに対する免疫力を上げてくれることが知られています。つまり、質の良い睡眠はこれから流行するであろうインフルエンザやCOVID-19に対する抵抗力を高めてくれる可能性があるということです。
大切な睡眠ですが、睡眠時間を十分とっているのに、朝起きたら体がだるく感じる人がいます。このような人は睡眠時無呼吸症候群になっている疑いがあります。今回はこの睡眠時無呼吸症候群について特集したいと思います。

日本人の睡眠時間は先進国の中で圧倒的に短い

そもそも日本人は、質の良い睡眠をとれている以前に、睡眠時間自体が少ない可能性が高いです。
右の図は先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)がまとめた国別の平均睡眠時間(2018年のデータ)の抜粋です。日本の7時間22分は、OECD加盟26カ国の平均(8時間25分)に比べて1時間以上も短いことがわかります。さらに、その睡眠時間は年々短くなっている傾向にあります。睡眠時間が短い人は睡眠時間を長くすることが必要です。

日本人の睡眠時間は先進国の中で圧倒的に短い

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群とは眠っている間に空気の通り道である気道が何らかの理由で塞がってしまい、呼吸が止まってしまう病気です。睡眠と呼吸という人間が生きるうえで欠かせない機能が脅かされてしまう深刻な病気です。
睡眠時無呼吸症候群は、大きく分けて3種類に分けられます。
1. 脳の神経などの異常で呼吸をするための筋肉への指令が行き届かなくなる「中枢型
2. 肥満などにより気道の上部が塞がってしまうことが原因の「閉塞型」
3. 中枢型と閉塞型が混ざっている「混合型」

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群の3大症状

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中にいびきや無呼吸を何度も繰り返す睡眠障害です。特に代表的な症状はいびき、頭痛、眠気です。睡眠中の大きないびきや息が止まる無呼吸の状態を一晩に何度も繰り返します。家族に指摘されて気がつく患者さんも多く、一人暮らしの方は見逃しがちです。また、睡眠時間は足りているはずなのに、朝起きた時の激しい頭痛や倦怠感に襲われます。日中の極度な眠気は自覚症状として一番多いものです。

睡眠時無呼吸症候群の3大症状

睡眠時無呼吸症候群は万病のもとになっている

睡眠時無呼吸症候群は肥満の中年男性がなりやすい病気だと長年信じられてきましたが、実は、年齢や性別を問わず、誰にでも起こりうる病気です。さらに、睡眠時無呼吸症候群が原因となる合併症として様々な病気を引き起こしたり悪化させたりすることが多くの研究によって知られています。
子供では、発達障害、注意欠如、多動性障害などがあります。大人では糖尿病、突然死、うつ病、脳梗塞、心筋梗塞、認知症などがあります。

睡眠時無呼吸症候群は万病のもとになっている

日本人は睡眠時無呼吸症候群になりやすい!?

日本人は欧米人と比べて、睡眠時無呼吸症候群になる要因が異なります。日本人の場合は欧米人ほど肥満の人は多くない割に睡眠時無呼吸の患者数が比較的多いです。日本人が睡眠時無呼吸症候群になりやすいのは、骨格的な外見の特徴が一因であると考えられています。
具体的には、後退した下顎、短く太い首、鼻が平で口呼吸をしているという日本人特有の外見的特徴があげられます。

日本人は睡眠時無呼吸症候群になりやすい!?

治療の基本は生活習慣の改善

睡眠時無呼吸症候群の治療の基本は生活習慣の改善です。
これは睡眠時無呼吸症候群の原因のひとつである肥満を解消するためです。骨格的に問題がある場合は、標準体型や、やせ型の場合でも少し体重が増えるだけで症状が悪化します。さらに、症状が悪化していくとCPAP治療やマウスピース治療を行い質の良い睡眠を確保する必要が出てきます。

治療の基本は生活習慣の改善

解剖学的な問題がある場合は外科手術も適応になる

睡眠時無呼吸症候群の治療では外科的な手術を行うこともあります。これは気道を塞いで無呼吸を引き起こす原因部分を手術によって正常な状態に戻すものです。咽頭扁桃(アデノイド)や口蓋扁桃の肥大が原因の場合にはその切除手術が第一選択となります。子供の場合にはアデノイドは成長とともに小さくなってくるため、軽症であれば積極的な治療は行いませんが重症化している場合には、アデノイドの切除を行います。
成人の場合には上気道を拡大させるために上下顎前方移動術や口蓋垂軟口蓋咽頭形成術を行う場合もあります。

解剖学的な問題がある場合は外科手術も適応になる

睡眠は人間が健康に生きるために欠かせない時間です。睡眠時無呼吸症候群はさまざまな病気のもとになっています。病気のリスクを減らすためには良質な睡眠をとることが必要です。
より良く寝るためには、より良く1日の生活を行わなければなりません。皆さんも良質な睡眠を得るために生活習慣を見直してみてはどうでしょう。