象牙質知覚過敏について
皆さん、むし歯でも歯周病でもないのに、歯が『しみる』といった症状が出たことは、ありませんか?歯医者さんで聞いてみると『知覚過敏ですね!』と言われることも多いとおもいます。実は昔に比べて、むし歯や歯周病の治療も進化し、歯の残存率も高くなったため、知覚過敏症で歯科医院を訪れる人が増加しています。もちろん当医院でも矯正治療中やホワイトニングの際に、知覚過敏を訴える方がいらっしゃいます。今回は、知覚過敏症の起こるメカニズムや起こる原因、そして知覚過敏を起こしやすい生活習慣や、対処法についてお話したいと思います。
知覚過敏症とは:
「温度、乾燥、摩擦、浸透圧、化学物質などの刺激によって生じる短く鋭い痛み(歯髄神経に興奮を起こす)を特徴とし、歯質の欠損などの病変では説明できないもの」とあります。??? ちょっと難しい・・・ですね!
象牙質知覚過敏症を起こす要因:
知覚過敏症はエナメル質とセメント質の喪失により象牙質が露出し、その表面の象牙質細管(象牙質には象牙細管という管が歯髄神経に向かって走っています)が開いている場合におきます。
象牙質知覚過敏症を起こす刺激:
不適切なハブラシによる磨耗、飲食による温度刺激(冷たい熱い)噛みしめや歯ぎしり、 矯正治療時の咬合干渉等の圧力(不正咬合)、ジュースやコーラ等の酸性食品の頻繁摂取(酸蝕)、歯周病等で起こる歯肉の退縮、プラークの付着、ホワイトニング剤、抗ヒスタミン剤、高血圧剤などの薬剤よる過敏症状、修復物によるもの(アマルガムやコンポジットレジン充填)などがあります。
当医院で行える象牙質知覚過敏処置
《家庭でのセルフケアについて》
象牙質知覚過敏症の発症には、生活習慣が大きく関係しています。先ずは、原因となっている生活習慣を改善することが大切です。
食生活が、原因になっている場合
コーラ、オレンジ、グレープフルーツジュース、赤ワインやpH の低い酸性食品のレモンやヨーグルト、健康飲料の黒酢などの頻繁摂取が原因となります。オレンジジュースに歯を3分さらすと表面の層が剥がれ象牙細管が露出し知覚過敏になることが確認されています。
不適切なブラッシング
機械的刺激でもエナメル質が損傷します。起こりやすい場所は、犬歯、小臼歯頬側の歯茎の境目です。利き腕の反対側に力が入りすぎたり、誤った糸磨きや歯間ブラシの使い方でもエナメル質が剥がれます。優しく動かして、力と動かし方のコントロールや、清掃用具のサイズの選択にも気をつけましょう。
歯ぎしりや噛みしめ等の咬合の不調和
歯ぎしりや噛みしめなどの悪習癖と不正咬合が合わさると、エナメル質の損傷が起きやすく、くさび状欠損の原因になります。対応策には就寝前にリラックスして眠る等の自己暗示や、歯を守る装置(スプリント)の装着などがあります。くさび状欠損はむし歯になりやすいので、プラークコントロールすることも大切です。
家庭でのセルフケアは、知覚過敏専用の歯みがき剤の使用をお勧めします。
知覚過敏用歯みがき剤には、硝酸カリウム(歯髄神経にバリアを形成し神経伝達をブロックする)やフッ化物(フッ化ナトリウム)、その他にも乳酸アルミニュウム(開口した象牙細管をふさぐ)や塩化ストロンチウムなどの有効成分が含まれています。当医院では、硝酸カリウムと乳酸アルミニュウムなどを配合した、知覚過敏予防と歯のトータルケア(むし歯と歯周病予防、着色性汚れの除去)を考えた『メルサージュヒスケア』をおすすめしています。気になる症状のある方は、セルフケアの方法も指導しますので、スタッフに声をかけて下さい。