子供の矯正治療の大切さ

こんにちは、技工士の柴田です!

近年、アゴの小さい子供達が増えているそうです。その理由に、昔と比べて柔らかい食べ物が多くなり、噛む回数が少なくなった食生活が原因だと考えられています。そして、噛まなくなった結果、きゃしゃで小さなアゴになり、きちっと並ぶことが出来ずに歯並びが乱れてしまうのだそうです。

また、現代社会では、成長期の子供は多くのストレスにさらされています。咬み合わせに問題があり、よく噛めないということは、子供の性格、心理や行動にも影響を及ぼすこともあるそうです。

さらに最近の研究では、噛むことが脳の機能(記憶)と密接に関係していることも明らかになってきました。計算能力のテストで、試験前にガムを噛んだグループは、何もしていないグループよりも成績が良いなどの研究報告もあります。たとえば皆さんも、運転中のめざましや集中力を増すためにガムを噛むことなどは、経験があるかと思います。

ストレスを解消し、集中力を高めるために、よく噛める歯並びは大切な要素です。お子さんの健やかな成長のために、咬み合わせ(口腔の機能)やアゴの良好な成長発育を誘導する、矯正治療を役立ててもらいたいと思い、この特集を書きました。

*子供の矯正治療って?

子供の頃から矯正治療を始める場合、矯正治療を1 期治療と2 期治療の2 段階に分けて計画します。

歯の生えかわりやアゴの骨が成長する子供の時期は、1 段階目の1 期治療で、歯列やアゴの発育が悪くならないように予防することと、より良い成長を誘導することが主な目的です。

*6 歳臼歯が、きれいな歯並びの『かなめ』

乳歯から永久歯に生え変わるとき、一番最初に生えてくるのが奥から2 番目の第一大臼歯です。この歯は6 歳前後で生えてくるので、『6 歳臼歯』とも呼ばれています。そして、次に生えてくるのが前歯の真ん中の歯である中切歯です。食べ物を噛み切るのが前歯だとすると、それを粉々にすり潰すのが6 歳臼歯。つまり、この2 つの歯は、咀嚼の『かなめ』なのです。またそれ意外にも、6 歳臼歯は咬み合わせの良し悪しを左右する『舵取り』の役割も果たしています。6 歳臼歯がまっすぐ生えて、上下がきちんと咬み合っていれば、後から生えてくる小臼歯や犬歯もまっすぐに生えてきますが、乳歯の段階で虫歯になって第一乳臼歯が早く抜けてしまうと、その隙間を埋めるように隣の歯が動くので、せっかくの『かなめ』の歯が傾いてしまい、うまく咬み合わなくなることになります。そして、傾いていることで、歯の並ぶスペースが狭まり、その後に生えてくる小臼歯の位置が悪くなったり、犬歯が飛び出したり…。つまり永久歯の歯並びは、6 歳臼歯次第といっても言い過ぎでなく、よい咬み合わせをつくる為には乳歯の時の虫歯を予防することと、6 歳臼歯が生えてくる時期に1 度、歯並びのチェックを受けることをお勧めします。

*子供から始める矯正治療のメリット*

*アゴの正しい発育を促す*

アゴの成長をコントロールすることにより、顔立ちも改善することができ、治療の仕上がりがよくなります。また、アゴの成長過程で咬み合わせが悪い状態のままにしておくと、アゴの変形を起こす原因となりますが、それを防ぐことができます。

*永久歯を正しい位置へ導く*

乳歯を抜くタイミングを調整することにより、永久歯を正しい位置に導くことができます。乳歯の虫歯を予防することで、永久歯が生えるスペースを維持できます。

*手術の必要性が減る*

アゴのズレが大きくなりすぎると、改善にはアゴの手術を併用した矯正治療が必要となることがあります。あらかじめ成長をコントロールすることにより、手術の必要性が減少します。

*指しゃぶりや舌癖などの悪習癖を改善するトレーニングを行える*

口に関係する悪い癖があると、アゴの成長や歯並びだけでなく、発音などにも影響があります。これらの癖を改善し口腔周囲筋や舌の正しい動きの習慣を目指します。

*永久歯の抜歯の可能性が減る*

成長期であれば狭いアゴを前や奥、横に積極的に広げることができます。永久歯の並ぶスペースを確保することで、抜歯の可能性を減らすことができます。

*2 期治療の期間が短くてすむ*

あらかじめ成長発育のある時期に、歯並びや骨格を改善しておくことにより、2 期治療が必要となった場合、治療期間を短くすることができます。

最後に…

ボクシングの世界で『グラス・ジョー』と言う言葉があります。ガラスのようにもろいアゴという意味で、ボクサーとしては致命的で、選手寿命にも影響してきます。スリムなアゴの現代っ子も『グラス・ジョー』です。それは単にアゴや歯だけの問題ではなく、全身の健康を阻害する大きな問題です。しっかり噛まないと充分な栄養補給ができないばかりか、物理的刺激によるからだの細胞の活性化も弱くなります。また、健康に欠かせない唾液の分泌も少なくなるなど、さまざまな弊害がおこってきます。動物は、噛めなくなると戦えません。生存を放棄するわけです。人間も動物ですから、噛めなくなると生命力が弱くなるといえます。健康な生活を送るためにも、子供のうちからよく噛む習慣づけが大切です。