「一浩と栄里子のあたしんち」 第85回「人間関係」

我々ホモサピエンスは「人間関係」を重んじ協力しあって現在の文明を作ってきたとサイエンス番組で見たことがあります。約4万年前にユーラシアに住んでいたネアンデルタール人は体格も技術も洗練されていたのにホモサピエンスと違い、家族単位の集団しか作らず絶滅したと聞きました。(近年一部の欧米人にDNAが受け継がれている説もある)

そもそも人間は1人では生きていけないし、やれることも限界があるので組織をつくり、時には集団で行動します。我々の周りにはいろいろな人間関係があります。最小単位は家族になるのでしょうか?
私の仕事は矯正歯科医なので、患者さん、矯正歯科医会、学会、歯科医師会、同窓会、クラブのOB会、趣味の仲間等の人間関係があり時には壊れることもありますが、大切にしたいと思っています。

人間関係で特に趣味(自家用飛行機パイロット)関係の人たちは多彩で面白いです。職業も多彩だし、国籍も多彩で、考え方や哲学、宗教も多彩です。先日、11年来の付き合いの飛行機仲間でドイツのFreiburg大学Rainer Schmelzeisen教授が再来日したので、彼について記します。

教授は世界的に有名な顎顔面系の外科医で自身もパイロットです。最初の出会いは友人からの紹介でした。日本大学口腔外科教授の外木教授(彼もパイロット)からのお願いで、「ドイツ人の教授で自家用飛行士の友人が、日本で小型機に乗ってみたいと言っているので付き合ってくれないか」とのことでした。
そこで2013年10月に大阪まで飛行機で迎えに行ったのが初めての出会いでした。

彼は日本の色々な飛行場を体験したいとの希望だったので、八尾(大阪)〜神戸〜名古屋〜大島〜調布と1日5Legのフライトをこなしました。20回以上来日して、学会や大学など各地で講演しているのに一度も富士山を見た事が無いとのことでしたので、ぜひ空からの富士山を見せてあげたいと思っていたのですが、快晴にもかかわらず富士山の周りだけ雲があり見ることができませんでした。
次に来日して飛行したのが2022年11月で調布〜松本〜大島へ飛行しました。雪は少なかったのですが富士山も見えて、教授は人生で一番のフライトだったと喜んでくれました。

ある日、矯正科の教授に「福増先生はSchmelzeisen教授の知りあいなのですか?」問われ、「友達ですよ、年賀状やクリスマスカードを送る仲です。」と言ったら驚かれたことがありました。Schmelzeisen教授は自分のことRainerと呼んでいいよと言われていますが、さすがに年上の偉い教授ですので、そうは呼んでおりません。

今年は11月に来日して調布〜名古屋〜松本へフライトしてきました。雪の積もった綺麗な富士山を見ることができました。その後、「日本大学で講演をするので来ませんか?」と外木教授に誘われました。日本大学矯正科には娘の仁知香がいるので、教授に紹介するのも楽しみでした。教授との付き合いは長いのですが、講演は初めて聞きました。すごい外科症例をたくさん見せていただき、驚愕し「あなたはパイロットだけでなく顎顔面外科医だと再認識しました」と感想を述べました。

講演後、娘を紹介し、関係者方々との食事会にも誘っていただき、大いに盛り上がりました。
彼から「Freiburgに来い」とよく誘われますが、私が「遠い」と言うと「Frankfurtから2時間だよ」と言われます。Frankfurtまで何時間かかると思っているか?わかりませんが、一度は行ってみたいと思っています。

福増一浩