0歳からはじめる矯正治療!?子供の歯並びを良くするために、0歳からできること!

こんにちは歯科医師の松田です。実は私ごとですが春に、子供が生まれました。
初めてのことでわからないことだらけですが、新米パパとして日々頑張っています。
乳幼児期の成長発育は、その後の顎顔面の骨格形態や歯並びの形成に大きく関わってくる時期なので、矯正歯科医として、より良い成長発育のために何かできないかと思い、勉強して特集にしてみました。皆さんのお役に立てたら幸いです。

将来の歯並びは乳歯が萌出する前に決まっている!?

皆さんはいつから矯正治療を始めればいいの?と疑問を感じたことはありませんか。
歯並びや骨格は、実は胎児のころにその基盤が形成されています。なんと、一番最初に萌出する下顎の乳中切歯(下の前歯)が萌出する段階で、将来的な叢生(歯がガタガタな状態)が決まるという報告もあります。そのため、生後まもない乳幼児期から将来の歯並びの土台が始まると考えられます。

Q.いつから子どもの不正咬合にアプローチすればいいの?

A.生まれた直後から将来の歯並びを意識することが大切です!

子どもの不正咬合へのアプローチやその準備は、生後直後から始めることができます。そうは言っても、実際に矯正歯科に通院するような本格的な治療のことではありません。
今回は、良い咬合や歯並びを自然に獲得するために重要なことをご紹介します。
将来の歯並びにとって重要なことは、口腔内に乳歯の萌出する十分なスペースがあることです。
このスペースが不足している場合、叢生が生じる可能性がとても高くなります。
この過程で特に重要とされるのが、乳歯萌出前の哺乳です。哺乳は子どもの口腔機能の発達において基礎的な役割を果たします。
正しい哺乳運動は顎の成長と発達を促し、将来の歯並びや咬合に好影響を与えます。特に母乳の哺乳は、離乳食開始後も2歳かそれ以上まで続けることが望ましいとされていて、ユニセフの調査で世界平均で4.2年というデータもあります。離乳食だけでは口腔の機能の発達を十分に促すことはできません。そのため、できるだけ長期の哺乳が推奨されています。

乳幼児期は→
脳や心の発達において外部環境の影響を特に強く受けやすい重要な時期です。

※乳幼児~成人の頭囲(平均値)
出生時:33cm, 1歳時:45cm→生後1年間で12cm UP
3歳時:49cm, 6歳時:50cm
成人:56cm(男性)、54cm(女性)

出生から1歳までの期間に
頭囲が急激に成長する

脳の発達にとって重要な時期‼

母乳育児には色々なメリットがある?その効果とは!

①脳の発達への影響

母乳育児は、離乳食など柔らかい食事よりも脳への刺激が大きく、
特に生後1歳までの期間で脳の発達にとても重要な役割があります。

②前歯の発達と咬合の獲得

赤ちゃんが母乳を吸う時、乳首をはさむために上下の前歯の根元付近(歯茎の部分)が当たるように動かします。この運動動作により、上下の前歯が正しい位置に生えてくるための準備になります。
ゆくゆくは将来的に正しい奥歯の位置関係の獲得にもつながります。

③歯の土台となる骨の成長

哺乳のとき、前歯の根元付近の骨(切歯骨)に機械的な刺激が加わります。この刺激が歯を支える骨(歯槽骨)の成長を促します。これによって、歯が生えるための土台のスペースが確保されます。

MFT(口腔機能トレーニング)の重要性

MFT(口腔機能トレーニング)は、口腔機能の向上を通じて、美しい歯並びを獲得するための重要な手法です。特に、幼少期の時期から開始することが効果的であるとされています。以下では幼児期のMFTの1例をご紹介します。

トレーニング方法:チューブ噛みトレーニング

・実施時期:乳歯萌出後
・方法:前歯で柔らかいチューブを噛む
・目的:①前歯切端咬合の獲得
    ②永久歯の萌出スペースの確保

トレーニングではありませんが赤ちゃんの機能の育成にとても重要な発育段階として、手づかみ食べがあります。手づかみ食べは目、手、口を使った協調運動です。五感をフルに使うので赤ちゃんに幅広い刺激と学習を経験させることができるそうです。つい手伝ってしまいがちになりそうですが、赤ちゃんの学習訓練として見守ってあげたいと思います。当院ではMFT診査で飲食を動画撮影して観察するのですが、正常な捕食や咀嚼、嚥下ができている方は少ないです。歯並びを治しにきている患者さんだから当然なのですが、機能の未発達が歯列不正を生じさせているとも言えます。

当院の治療にもMFTを積極的に取り入れています

【日常生活での取り入れ方】

MFTは日常生活のルーティンに取り入れて習慣づけすることが重要です。
具体的には、以下のような一連の行動を習慣化してみましょう!

①ご飯を食べる→②食後の歯磨き→③洗面台でMFT
このようにルーティンを日々の生活に組み込むことで、自然と口腔機能が向上します。
結果として、健康な歯並びと正しい咬合を獲得するための基盤になります!