危ないですよ!その食習慣
こんにちは歯科衛生士の立花です。当院では患者さんの予防管理のために食習慣の問診を行っていますが、意外と予防の意識や知識というのは知られていないと感じていま
す。そこで、『むし歯・歯周病・酸蝕症(酸によって歯が溶ける疾患)を防ぐための食習慣について』お伝えしたいと思い特集にしました。
むし歯・歯周病・酸蝕症と糖類の関係??
︎むし歯とは簡単にいうと、「口内にいる多数の細菌が『発酵性糖質』をエサに酸を産出しその酸が歯を溶かす」疾患です。
発酵性糖質には「砂糖・ブドウ糖・果糖・調理デンプン」が含まれます。
その中でも、食品や飲食の加工調理で加えられる糖・はちみつやシロップ・果汁・濃縮果汁は「遊離糖」に分類され、これこそが健康予防のために制限すべき糖分と現在では考えられています。
歯周組織が破壊される「歯周病」も、むし歯と同じく発酵性糖質が大きく関わるため、糖分コントロールが重要となります。歯周病が発生する最大の原因はプラークの存在であり、そのプラークは細菌と糖分によって形成されます。
あまり聞き馴染みのない酸蝕症(サンショクショウ)とは、どんな疾患かというと
「酸性度の強い飲食物によって歯表面が溶けてしまう疾患」のことを指します。
いずれの疾患においても『何をいつ、どのように食べているかという食習慣』が、大きく関わっています。
そのため場合によっては、食習慣の見直しが疾患を防ぐ最大の予防策となることがあります。
食習慣は、生まれた土地や家族構成・家族の持つ価値観等によって形成されていきますが、
「年齢・環境・健康への価値観」が食習慣を大きく変動させることもあります。
むし歯・歯周病を予防する食習慣??
先にも書きましたが「遊離糖」の摂取は「むし歯・歯周病」の大きな原因となります。
疾患を予防することを考えた場合、
WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、遊離糖の摂取量を総エネルギーの10%未満にすること、また1日25g以下の摂取量にするよう、基準を示しています。
このとき、異性化糖(食品添加物)として摂取している遊離糖の量にも十分注意する必要があります。
異性化糖は以下のような、ありとあらゆる加工食品・加工飲料に含まれています。
- 間食として食べている加工された菓子や飲料
- 朝食に出てくる食パンや、ジャム
- 健康食品として積極的に摂取している、乳酸菌飲料や栄養ドリンク(エナジードリンク)
- 部活やスポーツ系の習い事時のスポーツドリンク、体づくりのためのプロテインゼリーやバー
- 食事を作る際に、味つけとして使われる調味料
遊離糖とは二糖類
単糖類のこと
異性化糖分(遊離糖)とは…ブドウ糖果糖液糖・果糖ブドウ糖液糖・高果糖液糖・砂糖混合異性化液糖という表記で、食品表示されています。
よく摂取している食品の表示を確認してみましょう。
酸蝕症に影響する食習慣って?
酸蝕症の場合、むし歯や歯周病とは異なり、酸蝕に関わる食習慣があったとしても、その影響が出ていなければ、その時点では食習慣を問題としないことがほとんどです。
ただしこれから矯正器具を数年間装着していく患者さんの場合には、酸蝕症に関わる食習慣への見直しを提案することがあります。
酸蝕症は、その食品自体の酸性度・酸の種類・それに抵抗する唾液量と緩衝能・歯のカルシウム濃度やリン酸濃度が関係しますが、「その食品のもつ酸性度」が最も影響のある要因となります。
果物は全般的に酸性度が高いほか、飲料ではフレーバーティー・炭酸飲料・フルーツ系飲料・アルコール飲料も、酸性度が高い飲料として挙げられます。
また、お酢やタバスコなど酸味のある調味料も、酸性度の高い食品に含まれます。
※適度な量や食事と同時などの頻度であれば、酸で溶かされても唾液の作用で修復されていきますが、ジュースや炭酸飲料、エナジードリンクなどを頻繁に飲むような習慣は危ないです。
また、加齢や更年期・薬の副作用などによって唾液の自浄作用が低下した場合も、修復力が低下します。
最後に
当院では「唾液検査」を行う際、患者さんにご記入いただいた問診表を参考に、食習慣を含む生活習慣を把握したり、習慣と口内の疾患の関わりの有無を確認しています。
より良いアドバイスのためにも、問診表は詳細まで丁寧にご記入いただけると大変助かります。