姿勢と歯並びの関係
皆さんこんにちは!技工士の丸尾です。皆さんは姿勢が悪いことが不正咬合の原因になることはご存知でしょうか?体の歪みは色々な部分に悪影響を与えますが、歯並びにも悪影響を与えてしまうのです。今回の特集では「姿勢と歯並びの関係について」技工士目線での話も織り交ぜて特集してみました。
まず、正しい姿勢とはどういうものなのか。正確にわかる人はいますか?この表は姿勢の基本知識です。皆さんも鏡の前に立ったり、人に見てもらって自分の姿勢を確認してみましょう。
皆さんどうでしたか?この図どおりに、常に正しい姿勢でいれるひとはかなり少ないと思います。私たちは現代の便利な生活環境に慣れて、歩く事も少なくなったり運動不足になる人も多く、筋力低下のせいで正しい姿勢を保つ事が難しくなってきているのです。また、パソコンの使用やデスクワークを長時間行うことも猫背などの原因になります。こういった理由から現代の日本人は悪い姿勢の人が増えているのが現状です。では、なぜ姿勢の悪さが不正咬合につながるのでしょうか。
歯並びとの関係性
悪い姿勢の代表『猫背』は背中が丸まり頭が前に出てしまっている状態です。猫背は誰もがやってしまう姿勢ですね。しかし、猫背になると胸を拡げることができなくなり、呼吸がしづらくなります。すると酸素が少なくなり自然とたくさんの息を吸おうとするので口呼吸になりやすくなります。口呼吸では口は常に開いた状態になり、唇で前歯を押さえることが出来ず、舌も下がってしまうので、内側から歯列を支えることができなくなってしまい、様々な不正咬合の原因になってしまうのです。さらに口を開けていることで下がった舌は筋力も落ち、仰向けになると沈下します。そして気道を塞ぐので呼吸がしづらくなり『睡眠時無呼吸症候群』の原因にもなります。ですから、口呼吸の人は舌を沈下させないために、うつ伏せ寝や横向き寝で寝る習慣がつきます。しかし、うつぶせ寝や横向き寝は頭の重さが歯列にかかり、狭窄した細長い歯列になる歯列不正をおこします。つまり、悪い姿勢が口呼吸の原因になり、口呼吸によって不正咬合になる、ということです。口呼吸は他にも、噛み締め癖や顎関節症、歯肉退縮などの原因にもなります。
また、姿勢が悪くなると体が歪み、その歪みは全身のバランスを崩していきます。そうなると頭部の重心位置がずれ、そのずれが最終的に顎のバランスを崩していき不正咬合の原因にもなります。反対に顎の位置が悪いと、繋がっている頭の重心位置がずれ、傾くことによって頸椎の湾曲を狂わせ、その狂いは背骨を歪ませ、全身のバランスも崩してしまいます。このように姿勢は歯並びにも大きく影響しますが、他にも肩こり、頭痛、首のこり、腰痛、などの原因にもなっています。
***そこで技工士サイドから皆さんへ***
私たち歯科技工士がつくる矯正装置の中には機能的矯正装置というものがあります。これは舌や顔面、頸部の筋肉、咀嚼筋が発揮する力を利用したり、異常な筋の機能圧を排除することによって、かみ合わせや上下顎骨の位置関係を改善するための装置です。利点としては、三次元的な骨格の改善、口腔機能の回復、口呼吸を抑制し、鼻呼吸を促進する、誤った嚥下習慣を改善する、などがあります。下記に機能的矯正装置の一部をご紹介します。
***矯正装置以外にも…***
他にも、正しい姿勢をサポートしてくれるグッズもあります。このネックサポーターは悪い姿勢によって歪んでしまった首を固定し、補強、安定させることができます。また、首の歪みは肩こりや首こり、頭痛、自律神経失調症などの原因にもなります。このサポーターは首の筋力を支え、頭の重さを軽減してくれるのでそれらの症状を改善してくれます。当院にもあるので、興味のある方は是非試してみてください。
美しい姿勢は美しい歯並びに繋がり、そして身も心も健康的にしてくれます。毎日の心がけが大切なので、少しずつ意識するようにしましょう。私も今年から矯正を始めようと思っているので、それを機に姿勢に気をつけていきたいと思います。目指せ健康美人!