「一浩と栄里子のあたしんち」 第89回 「 いつか 」

恩師である東京歯科大学矯正学教室 元教授の山口先生と、会うたびに「いつか釣りに行きましょう」と私は10年ほど前から言っていました。ところがなかなか行く機会がなく、会うたびに同じ約束をするばかりで、一向に実現できない自分に焦りと腹もたち、自分が口先人間になっていく気がしてきました。

これは「いつか」という言葉がいけないと思います。人が自分の希望や夢を語る時「いつか~したい」「いつか~になりたい」とか言いますが、私はこのような言葉を若い先生が言われた時には「いつか~は永遠に来ない」と答えるようにしています。

以前、イギリス人の患者さんが「いつか:Someday矯正をしたい」と言ったので、私が「Someday is One day(過去のある日)」と言ったら大ウケしていました。「いつか」は、いつまでも来ないということを言いたかったわけです。

そこで次に教授と会った時には実行に移そうと決意し、具体的な日程を提示しました。教授は手帳を広げながら、その日なら大丈夫だということで2025年11月6日(木)に決まりました。釣りの好きな当時医局長だった恩師の鈴木先生と両先生の息子さん、元当院の技工士で両先生に技工を習った齋藤技工士も同行しました。友人の向後さんに船長をお願いし、知人のBoatで、いざアジ釣りに出発しました。

鶴見のつばさ橋の近くの私の秘密Pointで、私はゲストのサポートで釣りはしなかたのですが、5人でものの2時間弱で127匹アジが数匹のサバを交えて釣れました。私が「もう十分釣れたので、上がりましょう」というと、普段乗合船で釣りをしている息子さんたちは驚いていました。乗合と違ってPrivateの釣りでは時間は自由です。食べきれないほど釣っても勿体無いですし、自宅では家内がアジが釣れなくても楽しめるように、友人からもらった天然アユで料理を作って待ってる予定でした。

思ってたよりもだいぶ早く帰宅になりそうなので、昼頃に家内に電話で連絡すると「嘘でしょ!夕飯の予定じゃなかったの!」と慌てさせましたが、午後の2時には帰宅し、家内の手料理と、釣ったばかりのアジの刺身を肴に釣り後のパーティを楽しみました。長年、心に引っかかっていた「約束」が遂行でき、しかも大漁で喜んでいただきとても満足のいく1日を過ごすことができました。近年なかなか味合うことのできない達成感でした。

福増一浩