「食べる、話す、呼吸」がうまくできない人が増えています! “口腔機能発達不全症”と“口腔機能低下症”って知っていますか?

衛生士
井上
歯科衛生士の井上です。
①口腔機能発達不全症や②口腔機能低下症という「新しい病態」をご存知でしょうか?
矯正歯科では以前から、お口周囲の筋肉バランスの不調和が、歯並びと関係していることに着目し、MFTというお口の体操や舌のトレーニングなどを行っています。お口の機能は、歯並びはもとより、健やかな成長を促すための要素や、アンチエイジング、健康に長く生きて行くための秘訣が隠されています。今回はそんなお口の機能の重要性についてお話しします。
①口腔機能発達不全症とは
18歳未満のお子さんが対象です。「食べる・話す・呼吸」と言ったお口に関連する機能が、年齢相応に十分発達していない状態のことを言います。このような状態をそのままにしておくと、お子さんの健やかな成長の妨げとなることがあります。
【チェックポイント】こんな動作していませんか?
- 食べ方:食べるのが遅い、丸飲み、クチャクチャ食べ、好き嫌いが多い
- 呼吸:いつもお口がポカンと開いている、歯ぎしりをする
- サ行・タ行などの発音がはっきりしない
- 歯並びが悪い・歯の萌え方が遅い
- 指しゃぶり・爪かみ・唇をまきこむ
【成長にどんな影響があるの?】
- 歯並びが悪くなる
- 鼻呼吸ができなくなる
- 姿勢が悪くなる
【赤ちゃんの頃からはじまっています】
赤ちゃんの頃の、舌・口唇・頬・顎の動きが、その後の咀嚼や発音機能の発達へとつながります。
哺乳におけるお口の3つの働き
❶吸着 口を広げて乳首をぴったり咥え込む
❷吸い付く 舌を乳首に巻きつけて母乳を絞り出す
❸飲み込み 舌の根元を持ち上げて母乳を食道へ流す
※この3つの働きが協調することで、上手に母乳を飲むことができるようになり、口腔機能の発達が始まります。
※授乳姿勢や抱っこの仕方、赤ちゃんの首の位置がどこにあるかなど、赤ちゃんのお口の筋肉の使い方、お口の育ち方につながる姿勢も大切です。赤ちゃんの頃から、お口の発達を見守りましょう。
【評価・診断の仕方】
離乳完了前・離乳完了後・学童期・中高生に分けて評価をします。
- 食べる機能
- 話す機能
- 身長/体重などの成長具合
- 口呼吸が習慣化していないか
- 扁桃肥大
- いびき
- 舌が上顎に接触しているか
- お口を閉じていられるか
【こんなお口の癖や形からも 機能不全が伺えます】
お口を閉じる力が弱いと。。。

口呼吸があるかな?
上口唇が富士山型

口唇が乾燥していてよくなめる
口を閉じた時にオトガイ部にしわ

普段はお口が開いていて、頑張って閉じると、しわが寄ってしまう
口唇や頬の緊張のサイン

口唇がうすい
くちびるを巻き込む癖・えくぼ・歯列が狭くなったり、下顎が後退することも。
顎が狭い、歯並びが悪い

頬づえ、うつぶせ寝は?しっかり噛んで食べている?食べる時の姿勢は?

前歯のかみ合わせが深い頬づえ、下唇の噛み癖、お口ぽかん。癖が顎の成長に影響を与えるので成長と共にズレが大きくなることも。
② 口腔機能低下症とは
大人の方が対象となります。老化や病気、障害など様々な理由により、口の中の「感覚」「噛む」「飲み込む」「唾液の分泌」などが徐々に低下していきます。これらの機能不調がある状態を口腔機能低下症と言います。健康寿命を伸ばし、はつらつとした老後を送るためにも、お口の衰えを防ぐことが大切になります。
お口の機能を維持することは、健康に生きていく上でとても大切です。お子さんの場合は、まだ獲得していない機能を伸ばしてあげるところに目標がありますが、大人の場合は、一度獲得していた機能を維持し、回復することが主な目標となります。
【チェックポイント】
- 食べ物が口に残るようになった
- 硬いものが食べにくくなった
- 食事の時にむせるようになった
- 薬を飲み込みにくくなった
- 口の中が乾くようになった
- 食べこぼしをするようになった
- 滑舌が悪くなった
- 口の中が汚れている
【評価・診断の仕方】
- 口腔衛生状態不良
- 口腔乾燥
- 咬合力低下
- 舌口唇運動機能低下
- 低舌圧
- 咀嚼機能低下
- 嚥下機能低下
※3項目以上該当する場合に口腔機能低下症と診断されます
【どんなトレーニングがあるの?】
機能不全症や機能低下症に対して行うトレーニングには共通項が多いです。
- 唾液腺マッサージ
- ぶくぶくうがい(頬や口唇の筋肉のトレーニング)
- 舌まわし
- 舌の筋力アップ
- 風船遊び
- ガラガラうがい(喉や舌の後方のトレーニング)
- あいうべ体操
- 噛む力と舌の動きのために ガム噛みトレーニング
※機能の状態に合わせて組み合わせて行います。
当院の矯正治療では、お口の機能が適切に働けるようにトレーニングし、口腔機能のバランスを整えることで、歯列不正を改善し、歯列の長期安定を目標としています。さらに、機能不調に気をつけて治療に臨むことで、治療が早く進んだり、後戻りもしにくくなります。
矯正治療をしていなくても、お口の機能を育て、維持することは、生きていくために大切な要素がたくさんあります。これらのトレーニングをぜひ日常生活に取り入れていただき、健康の維持向上に努めていただけたらと思います。






