拡大装置と拡大の仕組み

「歯並びが悪い」といってもその原因は、100人いたら100通り。そのため矯正方法も期間も、 それだけまちまちです。もちろん、使用する装置も違います。そこで今回はその一つ、顎の未発達 な症例で使用する「拡大装置」について紹介します。

現代人の多くは食生活の変化などによって、顎がどんどん小さくなっていると言われています。それが歯の大きさや数の減少とうまく対応できない場合は、 歯がデコボコに並んでしまったり、定位置ではないところに歯が出てきてしまいます。その場合、歯をきれいに並べるためには、顎骨を拡げる必要があります。

そこで「拡大装置」を使用して顎骨を離開させていきます。

「拡大装置」には、取り外しのできるものや、歯に固定させて使うものなど数種類あります。 代表的なものは・・。




拡大床(かくだいしょう)

中心の拡大ネジを回すことで、 顎骨を左右に拡げていきます。 取り外しができます。

ハース

拡大ネジを使用した固定式の装置です。そのため、持続的に拡げることができます。

QH(クワドヘリックス)

歯の裏側に沿ったはりがねの力で拡大する固定式の装置です。




装置にもいろんな種類があります。

拡大床は取り外しができてラクそうですが、ネジ回しをサボってしまったり、 使用時間をしっかりと守らないと顎が拡がっていきません。

でも、拡大装置を使っている時、お口の中はどうなっいるのでしょう?

次に拡大の仕組みをご説明します。

拡大の仕組みとは・・・

上顎の場合、拡大装置は歯を固定点として正中口蓋縫線から顎骨そのものを拡げていきます 。拡大ネジを使用すると、ネジを拡げていくことで正中口蓋縫合部が離開し、その後、できた間隙に新しい骨が作られていきます。

拡大中のレントゲンを見てみる・・・。

このように、拡大は顎自体を拡げていきます。そのため発育状況に より個人差はありますが、成長期の子供では女子は 8〜9歳、男子は10〜11歳の時期に開始するのが望ましいです。

拡大装置は基本的に1日中使用する装置ですが、病気などやむを得ず使用できない期間があったり、破損、紛失してしまった場合など少しの間でも装 置を使用しない期間があると、せっかく今まで拡大してきたスペー スが骨が固まっていないため、すぐに閉じてしまいます。

そうなら ないためにも、このような場合は早めに電話をしていただくか、来 院して下さい。また、拡大ネジの付いた装置を使用している場合は、 先生の指示に従ってネジを回すことを忘れないで下さい。