姿勢が歯並びに影響するって知っていますか?

こんにちは歯科医師の福増栄里子です。皆さんは最近流行りの姿勢ダイエット(骨盤枕やストレッチなど)知っていますか?スタッフも巻くだけダイエットなどをやっていますが、姿勢を正しくすることはスタイルを良くするだけでなくて、歯並びを良くする事も知っていますか?もちろんその逆に、悪い姿勢は歯並びを悪くしてしまいます。今回は姿勢と歯並びの関係について、特集してみました。

正しい姿勢と悪い姿勢について

姿勢の重心は頭です。正しい姿勢はまっすぐに伸びた足の上に腰と頭が乗っています。体が真直なので骨に体重を預けることができるため、筋肉が無駄な力を使わずに立つことができます。


悪い姿勢は中心からずれた頭の位置を支えるため、首や腰などの筋肉に過緊張が生じます。そのままだと、筋肉が疲れてしまうので、重心バランスをとるために背骨や腰が曲がり、右図のような歪んだ姿勢をつくります。

正しい姿勢と悪い姿勢

上図は側面から見た前後的な歪みだけですが、この他にも悪い姿勢は、正面から見た横方向の傾き、回旋、O 脚やX 脚など、いろいろなパターンがあります。どのタイプの悪い姿勢にも言えることは、悪い姿勢を支える筋肉に負荷がかかるので、首や肩のコリ、頭痛、腰痛などが出やすくなります。それ以外にも下半身のむくみや冷え、消化器系の不調、神経痛などの原因にもなります。

なぜ姿勢が悪くなるの?

私達は、ついつい姿勢が悪いのは普段姿勢に気を付けていないからだと思ってしまいますが、実はちょっと違います。人間も含め、生き物は楽な姿勢をとろうとします。

例えばギックリ腰になった時。一番痛みが出ない姿勢を無意識のうちにとろうとしますよね。あるいは肩こりがひどい時など、万歳した格好で目が覚めたという経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。また骨盤が歪んでいる方は、座った時に足を組んだ方が落ち着きますよね。

実はこれらの行動は筋肉に負担がかからないように無意識にあるいは意識的にとっている行動なんです。姿勢が悪くなるのも、それと一緒なのです。

姿勢が悪いほうが筋肉にとって負担が少ないから、無意識のうちに姿勢が悪くなるんです。逆に言うと、姿勢が悪い状態が一番楽だと言うことは、無理に姿勢を良くしても逆に負担になると言うことなんです。しかし、無理に姿勢を良くしても負担だからと言って、そのまま放置していたらどうなるでしょうか?悪い姿勢による悪循環から、さらに筋肉のコリが進み、使っていない側の筋肉は弛緩し弱くなってしまうことで、ますます正しい姿勢がとりづらくなってしまいます。ではどうしたらいいのでしょうか?

姿勢を良くするために!

姿勢が悪くなる原因は多用で様々です。ただ、姿勢が悪くなってしまうと無意識にやっている日常生活の癖が固定化され、癖にあった姿勢へと徐々に体が変形してきてしまいます。歯並びの変化などもその1つです。

改善のためにまずは、日常生活の癖を知り正しい姿勢をとるようにしていくこと。生活の中でストレッチや軽い運動を取り入れ、固まった関節をほぐし、筋力低下を防止すること。
そして、変形してしまった体や筋力低下は、年齢を重ねるほど短期間では改善しにくくなるので、姿勢改善への努力を継続することが大切です。

歯並びや顔面への影響は?

姿勢が悪くなる原因の一つに口呼吸があります。もともとは鼻炎などで鼻呼吸がしにくいために、口呼吸の習慣がつき、使わないためにさらに鼻の機能が衰える、と言った悪循環を起こしていきます。体の機能や組織は使ってこそ発育していくもの。お口をポカンと開けて口呼吸している人は、上顎骨や中顔面(鼻周りと頬骨周辺)の発育が悪く扁平な顔立ちになります。

また、舌は上顎に触れていて上顎を内側から支えているのが正しい位置ですが、口で呼吸するためには舌は下に下がっていなければなりません。そうなると舌を上に持ち上げる筋力が低下し、口唇を閉じる筋力も同時に低下するので、下顎が開いた面長な顔立ちになります。面長な顔立ちは首とオトガイの距離が近づくので、顎の無い、オトガイに緊張のある顔になります。

さらに歯並びの方も、口呼吸の習慣があると、舌や口唇のアンバランスな使い方や偏咀嚼、うつぶせ寝などの態癖により、様々な不正咬合の原因となります。そして不正咬合のある人は顎や舌の位置が悪く、それが頭の重心を偏位させてしまい、姿勢を悪くするという悪循環に入ります。

ですから矯正治療で歯並びを早く治し、治療後の安定を得るためにも、姿勢を正し、悪習癖の除去と機能訓練を頑張ってもらう必要があるのです。

歯並びを良くして美しい口元になるために!

歯並びを良くして美しい口元になるための基本は、口唇閉鎖と舌で上顎を支えることです。簡単な訓練としてはガムを噛んで舌で上顎に押し付けることや、パタカラなどの口輪筋トレーニング装置を使うのも効果的です。

そして姿勢を正すには膝をしっかり伸ばして骨盤を立てて、頭の重心が背骨に乗るようにします。簡単なようですが鏡などで確認しないと意外と胸を反らしすぎたり、腰が曲っていたりします。また、普段の悪い姿勢によって筋肉の拘縮が起きているので、まずストレッチでその緊張を緩めてあげないと姿勢を正すのは難しいものです。

姿勢矯正の簡単な方法としてお勧めなのがストレッチボードです。内股に厚めの雑誌などを挟んで、おしりを締める感じでストレッチボードに乗るだけで、固まっていた筋肉がゆるみ、体がバランスを取ろうとして姿勢が改善されます。診療でも使っていますのでぜひ試してみてください。