お口のトラブル大辞典

今回は普段から気になってても意外にほったらかしにしがちな、お口のいろんな症状について、簡単にまとめてみました。矯正治療をやっている人にも、やっていない人にもおこる可能性があるので、対処法などぜひ参考にしてみてください。

その1 口内炎ができた!

正しい病名は・・・

いちばん多いのが『アフタ性口内炎』です。他にも『ヘルペス』『水痘(みずぼうそう)』などの感染症や『悪性貧血』などでもできます。

詳しい症状は・・・

唇や頬の粘膜もしくは舌などに、中が白っぽくまわりが赤い、丸いもの(これを「アフタ性潰瘍」といいます) ができます。さわるととても痛かったり、食べ物がしみたりします。アフタ性口内炎の場合は1〜2週間で自然に治ります。

原因は・・・

アフタ性口内炎は遺伝、感染、アレルギーなどとの関連が考えられますが、現在のところはっきりしません。疲れやストレス、カゼなどで体調を崩したと
きや胃腸の悪いときなどに起こることが多いようです。またもともとできやすい人は、新しい矯正装置が入って刺激が加わるようになった粘膜の部分にも
できやすいようです。

対処法は・・・

口内炎に取外し出来る矯正装置があたる場合はいったん装置の使用を中止し、早めに来院して下さい。取外し出来ない装置があたる場合は、ワックスで装置を覆い、それでもガマンできない場合は早めに来院して下さい。薬局にも口内炎用のぬり薬やビタミン剤などが売られているので、使っていただくと早く治ります。周囲の歯磨きを十分にして清潔に保つよう心がけ、痛くて歯みがきができない場合は、イソジンなどのうがい薬で消毒することをお勧めします。また油っこい食事を避けて、ビタミンB (卵など)やビタミンC (柑橘類など) をたっぷりとるようにし、十分睡眠をとって疲れをためないよう心がけましょう。

その2 歯の着色が気になる!

着色の正体は・・・

『ステイン』とよばれるものです。飲食物の色素が蛋白基質と結合して歯の表面に沈着したものです。

詳しい症状は・・・

歯の表面が黄ばんだり茶色く着色したりします。色のつきやすさは人それぞれで、取り外しできない矯正装置をつけると着色が目立つようになる方もいるようです。

原因は・・・

茶渋が湯のみ茶わんにつくようなもので、飲食物中(コーヒー、紅茶、緑茶など) の色素やタバコのヤニなどの汚れが沈着したものです。

対処法は・・・

市販の練り歯磨きの中にも、「歯の黄ばみをとる」「歯を白くする」とうたっているものも多くみられます。「歯を白くする」といっても、漂白したり歯
の表面を削ったりするのではなく、ステインを取り除いて本来の歯の色(やや黄味をおびた白) に戻すことをさしています。自分で磨きにくい部位については、診療室で専用器材を用いて清掃・研磨を行うことができます。簡単な歯面清掃からPMTC という時間をかけて徹底的にやるのものまでありますので、当院の衛生士に相談して下さい。

また当院では歯の色そのものをより白くする『ホワイトニング』を行うこともできます。矯正治療をせずにホワイトニングだけを行うこともできますので、お気軽にご相談下さい。

その3 口臭が気になる!

口臭とは・・・

口腔を通ってくる気体のうち不快な臭いの総称です。誰にでも多少は存在するものです。

詳しい症状は・・・

朝起きたときや空腹時、緊張時に強くなるようです。また口臭を気にするあまり、実際には正常範囲なのに深く悩んでしまう方もいます。

原因は・・・

歯垢(プラーク) や虫歯、歯周病、舌苔など、原因の90%は口腔内にあります。その他鼻、呼吸器、消化器の病気や糖尿病、肝臓病などが原因でおこる場合があります。また加齢、ストレス、口呼吸などによって口が乾きやすい場合は、口臭が発生しやすくなります。また取り外しのできる矯正装置や入れ歯を洗わないまま使っていると、においがつきやすくなります。

舌苔(ぜつたい) とは・・・

舌の真ん中から奥の方にかけて、表面が白や黄色になった状態です。細菌、唾液成分、食べ物のカスなどからなる付着物で、口腔細菌の貯蔵庫となっ
ています。舌苔を除去すると、口臭予防、食欲増進、口内炎の予防などにつながります。

対処法は・・・

毎日の歯みがきをしっかり行って、歯垢を除去し歯周病を予防することが一番大切です。舌苔は、市販の舌苔除去用ブラシあるいは毛の柔らかいハブラシで、定期的に舌を軽く数回かき出すようにすれば除去できます。市販の洗口剤(歯みがきの後に使ううがい薬) を使うのも有効でしょう。口で呼吸している人は、鼻で呼吸することを習慣づけることをおすすめします。また唾液の量が少ない人は、良く咬んで食事をすると、サラサラの唾液がたくさん出やすくなるので、口が乾くのを防ぐことができます。

その4 歯みがきをするとハブラシに血がつく!

正しい病名は・・・

そんなに力を入れてないのにハブラシに血がつく場合、歯周病の始まりである【歯肉炎】であることがほとんどです。

詳しい症状は・・・

歯と歯ぐきの境目などが、赤く腫れてブヨブヨしたり、出血しやすい状態になります。

原因は・・・

歯垢(プラーク) や歯石が第1 の原因です。また口で呼吸する人やタバコを吸う人の歯ぐきは、全体的に腫れやすくなります。

対処法は・・・

毎日の正しい歯みがきで予防することが一番。でももし歯周病になってしまったら、歯みがきの時に毛の柔らかいハブラシで歯ぐきのマッサージをおこなってください。痛いからといってその部分を汚れたままにしておくと、ますます腫れて歯周病が進行してしまいますので、歯の汚れを落としたうえでごく弱い力でマッサージして、歯ぐきをひきしめましょう。

また口で呼吸をしている人は鼻で呼吸する習慣をつけること、タバコを吸っている人は
禁煙することをお奨めします。また普段からバランスのとれた食生活を心がけ、繊維質の野菜やビタミンCの豊富な食べ物をとるように心がけましょう。