顔の非対称や歪み、気になっていませんか?顎や顔面の非対称や歪みは歯並びのズレが原因かもしれません。

写真を撮るとき右から撮られる方が好きとか、鏡を見たとき左のほうが好きとかありませんか?左右対称の顔というのはほとんどなく、どんな人でも多少は顔の非対称があるものです。

今回の特集ではその非対称や歪みがどのようにできてくるのか?注意したほうがいい歯並び、非対称の治し方について特集してみました。

まずは下の表でセルフチェック!1つ以上あれば何らかの左右差があります。
鏡で正面からの顔を見てみましょう。写真を撮って線を引いてみるのが一番わかりやすい方法です。アプリで顔の歪みをチェックする(Face Points等)物もあるそうです。

眉の高さが左右で違う
左右の目の大きさや位置が違う
鼻が左右どちらかに曲がっている
鼻筋を通る顔の中心線と鼻先と顎先を結ぶ線が直線でない
口の両端を結んだ線と両目を結んだ線が平行でない
頬骨の高さやほうれい線が左右で違う
顎のラインやエラの張りが左右で違う
「イ」の発音をした時に口角の広がりが左右で違う
歯並びの上下の正中線が一致していない

顔の歪みの原因とは?

いろいろな原因がありますが、多くは下記のような生活習慣によるものです。
片側ばかりで噛む癖、顔の向きが一方向でのうつぶせ寝や横向き寝、ほお伺、噛み締めや歯ぎしり癖、唇を舐めたり巻き込んだりする癖などです。

お口がポカンと開いていて、唇が荒れていませんか?
口が開いていると唇が乾燥するので、唇を舐めたり噛んだりする癖が出やすく、唇が荒れやすくなります。

よくほお伺をついていませんか?ほお伺は猫背の人に多い癖です。

いつも同じ向きで寝ていませんか?

食事の時、唇を閉めずにクチャクチャ食べていませんか?

これらの癖は歯並びに影響を与えやすく、歯並びが変化してしまうと、噛み癖も固定されてしまうので、顎顔面の筋肉の使い方にも偏りが生じ、顔貌にも影響を与えます。

<上下の正中線がズレている>

特に乳歯列期や生え変わりの時期は、歯並びが変化しやすいため、悪い位置に誘導されて生えてきた歯並びは、噛み癖を固定してしまい、その後の成長によってさらに非対称を大きくしてしまいます。

お子さんの歯並びは上下の正中線が一致していますか?
ズレている場合は何らかの癖や不正伵合、歯の数の異常や、萌出障害などが疑われます。

また、上記の癖は鼻呼吸の不調による口呼吸や口唇閉鎖不良などが原因で起きることが多いので、鼻の不調の改善も重要です。他にも姿勢の悪さが全身の筋力バランスの偏りを作り、猫背や骨盤の歪みなどから首や肩、頭の傾きなどを生じ、顔の歪みにつながる場合もあります。

注意したほうがいい歯並びとは?

非対称を防ぐには、全部の歯を使ってバランスよく噛める歯並びであることが大切です。軽く歯を伵んで、歯をすり合わせながら前後左右に下顎を動かしてみてください。全方向に5mm程度は動かすことができていますか?

これがうまくできない場合、強い叢生や過蓋伵合、片側の交伹伵合などにより顎運動が阻害されていて、片側噛みになりやすい歯列になっています。また、奥歯だけしか当たっていないような開伵や下顎前突、虫歯などで歯を喪失し片側だけしか伵めないような歯並びも、顎がズレやすい歯並びです。


強い叢生で、○の歯が外にはみ出ているため正中がズレている。


過蓋伵合で、○の歯が交伹伵合になり正中がズレている。


開伵で奥歯しか伵んでいないため、正中がズレやすい。

改善するには?

まずは成長期に歯並びや顔貌、姿勢の歪みに早めに気づいてあげることが大切です。側方の交伹伵合があるなら5歳ぐらいから、骨格的なズレが少なく叢生などによる正中線のズレであれば8歳ぐらいから、矯正治療で永久歯の萌出誘導や配列を行い、歯並びの対称性を確保していくことが非対称の改善や予防になります。

まだ乳歯列だが、○の部分が反対伵合のため正中のズレを生じている。このままだと成長により骨格的な非対称が強くなるので、早期の治療が必要。

非対称が骨格的なズレになってしまうと、永久歯列で成長終了後では骨格バランスを改善するのは難しくなってしまいます。大きなズレの場合には外科矯正治療という方法もありますが、全ての方に適応できる方法ではありません。永久歯列での改善方法は、抜歯を伴う矯正治療などで、非対称への補正を行いながら、歪みの原因となっている習癖を見つけ改善することと、筋肉の動きの対称性確保のため、顎顔面のストレッチや筋トレがおすすめです。

筋トレ例:両側でガムを噛む、あいうべ体操、スマイルトレーニングなど

笑顔の対称性の改善には、割り箸を使ったスマイルトレーニングがお勧めです。

*犬歯の後ろぐらいで割り箸をくわえる。
*両側の口角を割り箸よりも上にして、30秒間持ち上げる。(うまくできない時は指先を使ってサポートしてください)
*歯茎の露出の仕方もチェック!大きく歯茎が見えてしまう場合は、手でスマイルラインを修正してその状態を30秒維持しましょう。
*毎日2~3回練習してみてください。

福増栄里子

対称性を維持するために最も重要なことは、お口を閉じて!鼻呼吸をすることです!

口呼吸だとお口がポカンと開きっぱなしになるので、下顎や舌の位置が安定せず、顎がズレやすくなります。そして、筋肉の使い方も偏るので、顔の成長発育や矯正治療後の安定性にも影響を与えるので注意しましょう。

歯科医師 福増栄里子