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学校歯科検診だけで大丈夫ですか?

こんにちは。歯科衛生士の泉です。 みなさん、学校で「歯科検診」を受けた経験はあると思いますが、歯科医院で受ける検診との 違いや、検診の結果にどんな基準があるか知っていますか?そして、学校歯科検診があるから 大丈夫だと思っていませんか?学校歯科検診で歯列咬合にチェックが入ったら、矯正治療を受 けなくてはいけないのでしょうか?親としては心配ですよね。私も小学生の子供を持つ親とし て知っておきたい知識でしたので、今回の特集にしてみました。検診結果を見るときに参考に してもらえたらうれしいです。

「学校歯科検診」ってなんだろう?

学校では「学校保健安全法施行規則」により毎年6月30日までに定期検診を行わなければ ならないことが決められており、そのうちの一つが「学校歯科検診」になります。 1校に1人配属された、学校歯科医によって検診が行われます。 子供達のむし歯が減少したことにより、平成7年からは確定的な検診ではなく、 スクリーニング検査へと目的が大きく変化しました。

スクリーニング検査とは、[ふるいにかけるという意味で、ある病気にかかっている 可能性の高い人を見つける検査]です。つまり、むし歯や歯肉炎・歯並びについて、 学校歯科検診の判定基準に従って、ざっくりと選り分けているのが、学校歯科検診の目的です。

以前は疾患のある子供だけに、診断の結果を通知していましたが、平成27年からは、すべての子供 に検診結果を通知するようになり、「健康である」という結果を評価するようになりました。 ただし、スクリーニング検査での「健康である」という評価なので、 100%大丈夫であるとは言い切れず、歯科医院における精密検診も必要となります。

「学校歯科検診」と「歯科医院での検診」の違いってなんだろう?

目的の大きな違いを理解してもらえたところで、検診を行う状況の違いについても見てみましょう。 「学校歯科検診」は集団を対象としているため、1人にかけられる時間は1分弱程度しかありません。また、暗く見えにくい・レントゲンがない・主に目で見て判断するしかないなど、制限があるため、 どうしても正確な診断まですることは困難となります。それに対して、歯科医院での検診は、 整った専用の環境で、詳しく調べることができるため、「精密な検査」を受けることができます。

「学校歯科検診」と「歯科医院での検診」の結果の違いはどう考えればいいの?

歯科医院で検診をしたときは大丈夫だったのに、学校歯科検診でチェックをもらってしまった…。 反対に、学校歯科検診では大丈夫だったのに、歯科医院で検診をしたら、むし歯や歯肉炎・歯並びに ついて言われてしまった…。という経験をされたことがある方もいると思います。

先にも書きましたが、「学校歯科検診」と「歯科医院での検査」では目的・検査を行なう状況が大きく 異なるため、結果の違いが生じます。学校歯科検診において、OKかNGかを悩むときは、NGにすること が多いようです。 なぜなら、OKにしてしまうと歯科医院へ受診してもらう機会を逃してしまうからです。歯科医院の役割は「学校歯科検診」をきっかけに受診した患者さんに、自立した健康観を育てることにあります。

「学校歯科検診」の判定基準って?

スクリーニングの判定は 「0」「1」「2」の3段階です。 歯の状態(むし歯)、歯肉、 歯垢の付着、歯列・咬合につい て、それぞれ判断基準にそって評価を行なっています。
「0」健康
「1」要観察/定期的観察が必要
「2」要精査・要治療 /歯科医師による診断が必要

「1」にあるCOは「経過観察」 とありますが、学校では指導の時間が取れないため、かかりつけ医師の協力が必要です!

「歯列・咬合の状態」の判定基準について、もう少し詳しくお話します

[0] 特に問題はなく、成長発育の状態を観察する
[1] 現在の状態に問題が 見つかるが、顎骨の成長 状況により問題がなくなる可能性のある状態
[2] 経過観察をしていて も変化しない異常が確定しているもの

学校歯科検診に歯列・咬合の診査が取り入れられたのは約20年前。そして、27年に診査基準の見直しが されました。改訂点は、1低学年・中学年・高学年と発達段階に応じた診査基準を設けたこと 2事前に家庭で記入する保健調査票を活用し、保健指導・教育に活用しようとした点です。 が、現状として様々な問題があります。例えば、1に関しては、 (1)診査を行う校医によって評価が異なる (2)家庭の経済的問題や、地域の矯正歯科事情を考慮した評価がなされてしまうことがある 2に関しては、保健調査票における歯科に関する項目は少なく、評価に反映しにくい といった問題があります。

また、歯列・咬合と密接に関係する口腔機能を「学校歯科検診」の中でどう評価し、どう学校歯科として保健教育していくかという大きな壁があります。 いずれにせよ、「学校歯科検診」における歯列・咬合における「0,1,2」の判定は、矯正治療の必要性を 判断するものではなく、その子の将来にとって、口腔・全身の健康リスクがあるかどうかという基準で 価しているものだということです。ただし、子供の将来的な健康リスクを考えたとき、学校歯科検診の結 果次第では、矯正専門医を受診し、歯列・咬合に関する保健教育・相談を受けるのは、最良の方法です。

横浜市で長年行われてきた「歯科巡回指導」(実施されていない小学校もあります)が、今年度から 中止となるため、学校で「歯の教育」を受けられる機会が一つ減ってしまいます。そういった意味でも、「学校歯科検診」の結果だけで安心せずに、歯科医院への定期的な受診、そしてなにより家庭での セルフケアに取り組んで頂きたいと思います。