口呼吸と舌癖について

皆さんは普段きちんと口を閉じていられますか?
近年いつも口をポカンと開いていたり、逆に無理して口を締めているため、 アゴ に梅干しのような力こぶを作っている人が増えています。 原因は口呼吸 や 舌癖があるからなのですが、 この悪習癖は不正咬合の大きな原因になって います。 今回はこの悪習癖による歯列への影響と、 美しい笑顔を作るための トレーニング装置についてご紹介します。

なぜ口呼吸になってしまうのでしょうか?

最近は花粉症のようなアレルギ ー や 喘息 と言った診断を受けていない人でも、口呼吸の人が増えています。確かにアレルギーのある人も増えているのですが、おっぱいを飲んでいた赤ちゃんの時には生 理的 に 鼻呼吸 しかできなかったのに、成長により口で呼吸することができるようになると、楽な口呼吸が習慣化し、鼻を使わなくなるようです。使わない鼻は当然弱くなり、悪循環が始まります。
もともとの原因は鼻の弱い体質などが影響しているのだとは思いますが、現代の軟食傾向やファーストフ ー ド文化が顎の運動不足を招いたのも1つの原因です。その結果、正しい舌や口唇の動かし方を習得しないまま成長するので、顎や口唇・舌の筋力不足から口が開きがちになり、歯列不正を生じ、成長に伴って 骨格の不正も強くなります。そして、思春期をむかえる頃には歯並びや骨格が変化して口が閉じにくくなり、口呼吸も常態化してしまうのです。

口呼吸や舌癖は歯列にどんな影響があるのでしょうか?

正常な歯列においては舌は上顎歯列の中に収まっています。それによって頬からの圧力と対抗し、歯列を支えています。口呼吸や指しゃぶりなどの悪習癖があると、 舌が下がり上顎から離れるため、 頬の圧 力により上顎歯列が内側に押され狭くなり、叢生や歯列の乱れを生じます。
また口呼吸者は常に口を開いているため、下顎の下方への成長傾向が強くなり上顎の狭窄と合わさって、 顔面 が狭く、 かつ長くなります。 そして、 口呼吸者は睡眠中も口を開いているため、仰向けで寝ると下 顎 や舌が沈下し、 イビキをかきやすくなります。 イビキは無呼吸などの睡眠障害になるので、 自然にそ れを 避 けるためうつ伏せ寝や横向き寝などの睡眠姿勢をとるようになります。 すると、 舌に支えられて いない上顎歯列は、頭部の重さで圧迫され、さらに狭くなり叢生や歯列の乱れを生じやすくなります。

口呼吸と歯列

また、正常なえんげ時(飲込む時)には 舌は上顎を圧迫し、歯は咬んで口唇はリ ラックスして閉じています。しかし、舌突出癖を持つ人はえんげ時に 舌を上下顎歯列間に突出し、歯は噛み合 わされず、通常舌で分離されています。下顎はえんげ中に後退し、オトガイや口 角に強い緊張が認められます。そのため 下顎の叢生が強くなり上顎前突や顎関節 症状の原因となります。

美しい笑顔のために

美しい笑顔の土台は歯並びであり、顎顔面の骨格です。正しい舌や口唇 のポジションは上下顎骨の発育のバランスや歯並びに、鼻呼吸は中顔面の発育に重要な役割を担ってい ます。美しい笑顔を作るためには矯正治療はもちろんですが、正しい舌や口唇のポジションを学び、鼻呼吸のトレーニングを行うことが大切です。そして鼻呼吸ができるようになると口唇閉鎖が楽になるの で、上下唇の筋力バランスが整い、口元の印象が美しくなります。

治療経過

美しい笑顔のためのトレーニング装置

「レTーRAナIーNEはRオ」ーストラリアの Myofunctional Research 社が開発した矯正装置です。下記の 6 つ の 機能 を 持 ち、 夜間と日中 1 時 間の使用で口呼吸や舌癖などの悪習癖を改善します。 そして装置の 効果 により 歯 の 整列 や 筋機能 の 訓練、顎の位置の正常化を行うことができます。機能の改善を行うことで、矯正治療後の安定性を高めたり、マルチブラケット(2 期治療)の治療期間を短くしたり、不要にすることも可能です。小児から成人まで使用できる 3 サイズや、それぞれ 2 種類の硬さの違う装置があり、ブラケットと併用できる装置もあります。治療上必要と思われる患者さんには矯正装置として使用していただいています。

トレーニング装置


トゥースチャネル・・前歯を整列させます。
タングタグ・・舌を積極的に訓練します。
タンガード・・舌突出を止めさせます。
リップバンパー・・おとがい筋の活性を抑えます。
クラス1切端咬合 ・・機能的矯正装置と同じように、咬む位置を修正します。
翼状ベース・・顎関節をリラックスさせます。

矯正治療 で 何 とか 歯並 びを 改善 できても 、 口呼吸 や舌癖などの悪習癖が残っていては歯並びの安定 は 得 られません 。 せっかく 獲得 した 美 しい 笑顔を定着させるためにも、 福増矯正歯科では悪習癖の ある 人 には 治療中 から 筋機能訓練(MFT) を 指導 し 、 治療後には全員に筋機能訓練を指導していま す。