矯正治療後の安定性と後戻りについて

皆さんの中には“もとの歯並びに戻ってしまうことはないの?”という疑問をお持ちの方も多いことと思います。これは、“後戻り”といわれるものですが、もとの歯並びと同じようになることは極めて稀です。しかし、残念ながら、程度の差はあるものの、矯正治療後の歯並びは少しずつ変化します。

一方、矯正治療をしていない人の歯並びにも、変化は必ず生じます。例えば、虫歯や歯周病などを適切な治療をせずにそのままにしておくと、問題の歯だけでなく、隣の歯や、噛み合わせの相手(上顎に対する下顎)の歯が動いてきて、歯並びが徐々に変化してきます。また、すべての歯は口の中に萌えてきたあと、食物を噛むことで噛み合わせの相手(上顎に対する下顎)の歯と長年にわたってすりあっているうちに、歯の高さが低くなってきます。さらに、歳を重ねていくと、噛むときに使う頬の筋肉も衰えていきます。このような、避けようのない加齢的な変化によっても、歯並びは変化します。

“後戻り”とは?

次に、矯正治療後の歯並びに起きる変化ですが、これが“後戻り”ということになります。この原因をいくつか挙げると、

悪い姿勢は中心からずれた頭の位置を支えるため、首や腰などの筋肉に過緊張が生じます。そのままだと、筋肉が疲れてしまうので、重心バランスをとるために背骨や腰が曲がり、右図のような歪んだ姿勢をつくります。

したがって、“後戻り”を、出来るだけ少なくするためには、

1.骨格や歯列、口元のバランスを考慮した、適切な治療を受けること、

2.そして治療によって獲得した咬合を安定化させるため、保定という措置を必ず行うこと、

3.後戻りの原因となる上記のような要因を、改善排除すること、

4.さらに保定期間を長くすること、

 が大切です。

当院の治療のゴール=保定の目標は、かみ合わせの機能的な安定と歯列の生理的な安定です。これは矯正治療の有無にかかわらず、歯列が経年的に変化するのが正常であるという前程において、変化しても機能的に問題がないバランスの良いかみ合わせと、歯列を目指しています。ですから、当院のリテーナー(保定装置)は生理的に必要な変化を妨げないように、取外しの出来る形を基本にしています。

しかし、患者さんの中には、治療後の歯並びを多少でも変化させたくない方もいらっしゃいます。また、上記に上げた悪習癖が改善されずに保定後も残っている方の場合、どうしても後戻りしやすい傾向があります。このような方には、リテーナーの長期使用または固定式リテーナーによる永久固定をおすすめしています。

“保定”って何をしてるの?

福増矯正歯科では、保定装置を装着した後は、少なくとも2 年程度は年に2〜3回のペースで保定観察を続けています。その間で悪習癖の改善や機能訓練を行ったり、リテーナー(保定装置)の調整をおこないます。リテーナーの調整とは生理的に変化する歯列に合わせたリテーナーの修正や、使用時間、使用間隔を開けていき、リテーナーの使用時間が減っても歯並びが“後戻り”しないことを観察して、歯並びの安定を確認することです。

保定観察は保定2 年経過した時点で治療後の変化を検査し、歯列の安定性や、将来の変化を予測するために矯正治療終了診断を行います。矯正終了診断をもって矯正治療の終了となりますが、口腔の健康管理のためには定期健診はかかせません。お口の健康のプロ、衛生士や歯科医師でもなかなか自分の歯を隅々まで100%完璧に磨くことは難しいものです。

福増矯正歯科では末長く患者さんのお口の健康を維持し、美しい笑顔を保つために、矯正終了後も定期健診をおすすめしています。患者さんに健診を楽しみに来てもらえるように、ホワイトニングや歯のトリートメントなどデンタルエステメニューもご用意しています。