ホーム > ふくふくだより > 生えてこない歯ありませんか?~埋伏歯~

ふくふく便り

生えてこない歯ありませんか?~埋伏歯~

タグ: ,

埋伏歯について

歯が出る時期が過ぎても萌出しないで、もぐっている歯を埋伏歯といいます。
特に上顎の犬歯は埋伏する傾向が強く、現代では2%ぐらいの人に犬歯の埋伏があるそうです。
男女比では1:2で女子の方が2倍の発現率で92%は片側性(片方だけ)です。
さらに悪い事に78%が隣の歯の根を吸収してしまいます。

矯正治療を希望してくる患者さんは、歯がデコボコしていたり、出っ歯や受け口などの見た目を気にして治療を希望する方がほとんどです。歯並びの善し悪しは本人の自覚もあり見た目でもわかります。

しかし埋伏歯は歯槽骨内の問題なのでレントゲンを撮らないと発見できません、埋伏する原因は歯胚(歯の種)の位置異常や狭い顎、過剰歯、嚢胞等で邪魔されている等が考えられます。

(図1:症例①)は7歳7ヶ月の女子で左上の犬歯が前に向いています。このままだと正常に萌出できない事が予想されるので、犬歯の萌出方向が下に向くように顎を広げる治療をしました。

上顎を広げた後の9歳時の写真(図2:症例①)を見ると右上の犬歯は下に向いてきていますが、左上の犬歯はまだ下を向いてきてくれませんでした。このままでは埋伏してしまう可能性があるため、口腔外科で手術して埋伏した歯に装置をつけて引っぱり出す必要があります。このような処置を「開窓牽引」と言って当院でも年間2~4症例は行っています。歯は植物と違い、歯冠(歯の頭)から出来て根は後から出来てきます。この犬歯をこのまま放置すると根が出来る時に上顎洞の皮質骨(固い骨)にあたり根が曲がってしまう事があります。そうなると顎の拡大をしても自然萌出しなくなりますし、後から開窓牽引して引っぱり出す事も非常に困難になります。

左下のレントゲン写真(図3:症例②)は初診時11歳の女子です。正中埋伏過剰歯と左犬歯の先に歯牙腫と言う余計な歯があります。そのため右に比べ左犬歯の萌出が遅延しています。すぐに治療をはじめればよかったのですが、患者さんにしてみれば 切端咬合を主訴に来院されたので、過剰歯や埋伏歯については初耳で、ましてレントゲンでしか異常がわからないので埋伏歯に対する矯正治療の必要性を感じていませんでした。

矯正診断の結果、埋伏過剰歯のある状態で矯正治療で歯を動かす事は、歯根吸収の可能性もあるので、先に過剰歯の抜歯を行い、その後、歯列拡大を行う予定で治療計画をたてました。正中埋伏過剰歯と左上犬歯先端部の歯牙腫、および乳犬歯の抜歯依頼を口腔外科に出して、抜歯後の治療開始を待っていたのですが、そのまま未来院となり11歳時には矯正治療は行えませんでした。

そして、15歳時に再来院したときには正中過剰歯は抜歯してあったのですが、歯牙腫の抜歯が終わっていなかったため犬歯が真横になっており、前歯の歯根吸収も起きていました(図4:症例②)。

結局、手術して埋伏歯に装置をつけて引っぱり出すことになりましたが、(図5:症例②牽引中)。引っぱり出すのに1年3ヶ月もかかってしまいました。この症例はなんとか出てきて並べることが出来ましたが(図6:症例②治療後)、根が曲がったりすると牽引が困難になります。

下の写真(図7:症例③)は23歳女子のCTの画像で、埋伏している犬歯の根の先端が上顎洞の皮質骨に当たって湾曲しています。この症例も開窓牽引を行っています。しかし、3年以上たっても完全に萌出していません、現在、湾曲した歯根の端を外科的に切断(歯根端切除)して、牽引している最中です。もし歯根が湾曲する以前に開窓牽引を行っていればスムーズに萌出した可能性が高いのです。

子供の顎のレントゲン(パントモ)は通常、保険がきかないので一般歯科では特別な理由が無い限り撮影は行わないのが現実です。当院は初診時に全員パントモを撮影します。そこで初めて埋伏歯だけでなく先天欠損や過剰歯、嚢胞(図8:症例④)等を発見しています。

是非、多少は費用がかかっても健康な口腔育成のため、9歳ぐらいで顎全体のレントゲン(パントモ)を撮影してもらって診査してもらう事をお勧めします。 


こちらの文章を読んで気になった方は、ぜひお問い合わせください。

お問い合わせ・ご予約はこちら >>