「一浩と栄里子のあたしんち」第63回 「 夢 」

先日、東京歯科大学矯正学教室の研修生に講演を依頼され行ってきました。講演では矯正学の学術的、技術的な話の合間に、「夢」について話をしました。「夢」は夜寝ている時にみる「夢」と将来の自分の達成したい目的や抱負も「夢」と表現します。これは英語のdreamも同じ意味でとても珍しいケースだと思います。今回の「夢」についての話はもちろん目的や抱負についてです。

研修生の講義の中で私は「自分の目的、やりたい事を実現させるためには自分の努力を惜しんではだめだ!」と話しました。他人の助けやお金を使う事ももちろん必要ですが、限界があります。しかし、自分の努力は努力さえつづければ無限です。しかも無料です。

しかし実際、人間は自分に甘いのですぐに努力の限界が来て挫折してしまいます。現に私のウエイトコントロールはダイエットも含めて挫折だらけです。それでは何故すぐに挫折してしまうのでしょうか?それは価値観や危機感の問題だと思います。それらが弱いとMotivation:自発性、積極性が弱く努力の限界の閾値が下がります。

私は高校時代、ハンドボールで高校1年から国体選抜の代表になり、インターハイでもベスト8まで行きました。運動嫌いですが、(運動が好きなら今こんな体していません)どんなに苦しい練習でも、これで試合に勝てればいいと思っていました。練習の辛さより、試合に勝ちたいMotivationが上回っていたのです。

大学時代は飛行機の免許をとりたいと思い渡米しました。かなりの勉強をしました。そのために英語の勉強も受験生時代以上にしました。でも何の苦でもありませんでした。それは飛行の免許をとりたいという気持ちが努力の辛さより遥かに上回っていたのです。矯正歯科の専門医になりたいという気持ちも同じです。矯正の勉強が辛いと思った事はありません、試験勉強とは違うのです。

つまり何かを行動する前に本当にその事をやりたいのか?やったらどのような結末になるか?やるためにはどれだけの人の協力、金銭、努力が必要なのか?よく考え現実的な計画となって、はじめてGoしなくてはいけないと思います。そうしないと「将来ピカチューになりたい」と言っている子供と何ら変わらない夢になってしまいます。

スペイン人に教わったアメリカの有名な諺があります。“Begin with the end in mind.” “結果を心に叩き込んでから開始しなさい”人生の選択肢に直面した時に、有効な諺だと思います。矯正歯科の診断時に患者さんにも時々使っている言葉です。

後日、感想や感謝のメールが続々と来ました。その中に「努力を惜しむな!」という言葉に感動したという内容があったので今回はその事を記させていただきました。それにしても講演時には全く反応がなかったのに、メールだとガンガン発言する所は今時のインターネット世代だと思いました。